又五郎町

f:id:cho0808:20120527160539j:plain:h400:left【消滅した年】昭和41年(1966年)
【現在の町名】材木町
【感想・雑記】北海道新幹線が開業して早くも忘れられそうな北陸新幹線です。わたくし、昨年の3月14日の開業の日にたまたま乗ったんですよ。それで、さっそくここで自慢しようと思ってたのに、ちょうどスランプによる休載期間につき、完全にタイミングを逃してしまいました。
ところで、北陸新幹線の延伸開業によって、東京以上に近くなったと感じるのが長野です。開業直前の2014年12月の時刻表によると、金沢駅6時8分発のはくたか1号で直江津に向かい、普通電車にのりかえて長野に到着するのが9時53分でした。今は金沢6時発のかがやき500号にのると7時5分には長野に着きます。3時間弱の旅がほぼ1時間に!約2時間の短縮ですよ!ただその代わりに、二本木駅でのスイッチバックは見られなくなりましたが。。。

ということで、やや強引ですが、突然の真田丸SPといきましょう。
真田信繁(幸村)の父、真田昌幸が開いた信州上田の城下町も新幹線で一本、約1時間40分で着きます。この町は、旧町名業界ではちょっとした有名な町なのですが、ご存知でしょうか。上田市は、昭和44年(1969年)に住居表示が実施されて、海野町、原町、鷹匠町、馬場町、鍛冶町、大門町などたくさんの町が消滅しました。それら、由緒ある旧町名の代わりに付けられたのが、中央、中央北、中央東、中央西の新町名たち。住居表示によって、全国的に中央を名乗る町名が増えたのですが、これほどまでに「中央」ばかりになってしまうと分かりにくすぎです。年配の方などは未だに旧町名を使い続けているということでした。

さてさて、真田といえば十勇士、猿飛佐助か霧隠才蔵か、はたまた池波正太郎の小説「真田太平記」ならば壺谷又五郎か。夏八木勲さんの熱演が光った壺谷又五郎は、今回ご紹介する「又五郎」とは全く関係がありません。又五郎町の又五郎は、加賀藩士の人持組、横山又五郎邸があった場所で、明治5年(1872年)に又五郎町と名付けられました。読み方は「またごろうちょう」です。
現在の町名は材木町です。今の材木町と昔の材木町は、似て非なる全く別の町で、今の材木町の大半は又五郎町か備中町でした。金沢市立材木町小学校の建つ場所はかつての金澤市又五郎町1番地です。又五郎町小学校と呼ばれた時期もあったようですが、明治22年より材木町小学校(途中いろいろ変遷あり)となりました。校下名の町名が残る暗黙ルールにより、材木町が現代に残ることとなりましたが、又五郎町小学校のままだったら、現在の材木町は又五郎町だったかもしれません。

明治43年(1910年)から戦後の昭和22年(1947年)まで、材木町小学校は男子小学校、味噌蔵町小学校は女子小学校だったそうです。つまり両校の校下の男子は材木町小学校に、女子は味噌蔵町小学校に通うことになってたということです。それほどに両校は表裏一体、金沢にお住まいの方はご存知のとおり、目と鼻の先に建つ小学校同士です(でした)。来年度より両校が統廃合され金沢市立兼六小学校として新しいスタートをきるわけですが、いくら表裏一体とはいえ、それぞれ100年以上の歴史がありますので、色々と文化のちがいがあるらしく、味噌蔵町小に通う小学生のお母さんから合併に伴うご苦労を伺う機会がありました。例えば、ネームバッジの学年の色とか、荒子小との交流はどうなるのか、とかとか。

味噌蔵町小は、兼六園金沢城校下に持つ学校ですので、名古屋市荒子小学校との交流が続いています。尾張国荒子といえば、前田利家公の出生の地で、父の利春(利昌)公は荒子城主です。利家公が最も信頼した「本座者」といえば、荒子衆とよばれた荒子時代からの家臣なのです。ちなみに、荒子衆として有名なのが、村井又兵衛(長頼)です。元服して又左衛門と名乗った利家公は「槍の又左」との異名をとった血気さかんな若者でした。その又左衛門の最初の家来となり、又左衛門の一字をもらって又兵衛とよばれた村井又兵衛は、生涯にわたって利家公に忠義を尽くし、のちに加賀八家、長町川岸の鞍月用水沿い、現在の中央小学校にお屋敷のあった村井家の祖となります。
ちなみに、味噌蔵町小も荒子小も校章が梅鉢御紋でご縁のある学校同士とのことでした。兼六小学校になって、校章は変わってしまいますが、荒子小学校との交流はこれからも続いていくことでしょう。

あれ?真田丸SPのはずが、結局、利家公の話題になっちゃいました。そういえば、昭和59年(1984年)に百万石まつり(百万石行列)で、はじめて有名人俳優から利家公に起用された鹿賀丈史さんは材木町小学校の卒業生です。又左、又兵衛、又五郎、また、また、ではまた。

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自慢したかった北陸新幹線(上)
明日28日に閉校を迎える材木町小学校(中)
創立143年の幕を閉じる材木町小学校(下)
[発見日:平成24年5月27日]