高道町

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【消滅した年】昭和41年(1966年)
【現在の町名】山の上町、東山二丁目、森山一丁目
【感想・雑記】今週の東京出張にケータイ充電器を持っていくのを忘れてあたふたした、という個人的なうっかり話はさて置き、今回は「充電器」ならぬ「重伝建」の話題をとりあげたいと思います。

先週の金曜日(10月19日)、国の文化審議会が金沢の寺町台地区について「重伝建」に選定するよう、田中真紀子文科相に答申がありました。
「重伝建(地区)」とは「重要伝統的建造物群保存地区」のことです。無事選定されれば、石川県では8件目となり、京都府を抜いて全国単独で最多、金沢市でも、主計町東山ひがしの茶屋街、卯辰山麓の寺町についで4件目となり、京都市萩市と並んで全国最多タイを記録するそうです。
本日は、先週答申のあった寺町台地区の前に、昨年(2011年)重伝建に選定された卯辰山麓寺院群をとりあげます。ちなみに発見した町は高道町(たかみちまち)。お隣りの高道新町は早いうちに見つかっていましたが、念願の高道町も発見しました。なお、高道町の町名の由来は高道新町の回をごらんください。

さてさて、金沢には3つの「寺町」、すなわちお寺の密集地域(寺院群)があります。寺町台、小立野台、卯辰山麓の3箇所。そのうちの卯辰山麓寺院群は、卯辰山のふもと、すでに何度も登場している山の上町東山を中心とした地域で、ここに53もの寺社があります。このうち重伝建地区に選定されたのは37のお寺と2つの神社だそうです。この2つの神社とは、すでにご紹介済みの宇多須神社小坂神社ですよ。
ここでひとつ豆知識ですが、3つの寺院群には、金沢にあまたあるはずの浄土真宗のお寺がほとんどないのだそうです。浄土真宗はかつて一向宗ともよばれました。長享2年(1488年)頃から天正8年(1580年)までの約100年もの間、加賀の地を支配した加賀の一向一揆が有名ですよね。町づくりに際しては、浄土真宗以外のお寺を集積させる一方で、浄土真宗のお寺を街中に点在、分散させることにより、ふたたび団結することのないよう工夫をしたらしいのです。そのためなのか、金沢の街なかには浄土真宗地味寺がたくさん点在してございます。お寺めぐりも、さがす会活動の醍醐味ですが、日増しにおじいちゃん化が進行中です。
ちなみに今回の高道町を発見したのは寺院群のなかのお寺のひとつ、日蓮宗の全性寺さんです。山門に掲げられた大きなわらじが特徴です。このわらじは健康と健脚をねがって奉納されたものだそうです。ここはひとつあやかって、あこがれの伊能忠敬先生に一歩でも四千万歩でも近づけるよう、これからも健脚商売(?)がんばりまーす!

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全性寺山門(金沢市指定文化財)とわらじ
[参考文献]北國新聞(平成24年10月20日朝刊)、ウィキペディア(加賀の一向一揆)市民が見つける金沢再発見「石川県に世界遺産を」推進会議
[発見日:平成24年8月18日]